アーキテクチャと適者生存
2011年の11月に、関西Ruby会議04でトークする機会をもらった。そのときに「ぼくの人生観は、弱肉強食よりは、適者生存に近いです」と話した。ちょっとした理由であのときのトークの内容を思い返していて、今でもやっぱりその考えを主張したいと思った。
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たとえば「曲」について。曲の「強い/弱い」なんて決められるだろうか。ちょっと言葉を変えたとして、「良い/悪い」なんて決められるだろうか。「名曲」はいかにして「名曲」と呼ばれるようになるのか。
一方で、「時代に受け入れられやすい曲」というのは、なんとなくだけれど、あるのだろうと思う。ここでいう「時代」とは「環境」のことであり、「環境」とは「アーキテクチャ」のことだ。ちなみに、「アーキテクチャ」という言葉は、次の記事を読んで、そこから持ち出した。
今回は、技術が規定する環境(アーキテクチャー)とコンテンツ内容の関係について話したいと思います。技術はコンテンツに対し中立でいられるのか?~CD1枚74分とサビ頭ポップソングにその真髄を見る~ | AdverTimes(アドタイ)
この記事では、「CDに収録できる音楽の長さが最大で74分なのは、今となってはたまたまである」「CD時代になって、曲の頭出しや早送りが簡単にできるようになって、サビを冒頭に持ってくる曲が増えた」「iTunes Store時代になって、アルバムの中から1曲単位で買えるようになったので、アルバム全体でひとつの世界観を表現して伝えることがむつかしくなった」なんてことが書かれている。
すごくおもしろいことだ。「曲」は「曲」のままだけれど、曲の「容れ物」や「流通の在り方」が変わることで、曲の受け入れられ方が変わっている。ぼくは音楽のことはあんまりわからないけれど、音楽に精通した人からすると、やっぱり「名曲」というのはあるのかもしれない。しかし、それが「受け入れられるかどうか」は、また別の話なのだ。
ここで、2013年の今のぼくが好きなコンテンツ(もしくはコンテンツプロバイダー)として、次の3つを挙げてみようと思う。
- ゴールデンボンバー
- 地獄のミサワ
- ブラックジャックによろしく
ゴールデンボンバー公式HPの、「誰かがYouTubeにDVDのライブ動画をUPしてくれたので、お金出してまでゴールデンボンバーを見たくないって人は是非!」って説明文に吹いた
— ナギ (@BabyBonnieHoodk) February 9, 2013
このサイトはリンクフリーですが(今一番リンクフリーなんじゃないかな?)皆さんのサイトからリンクしてくれた時は「お問い合わせ」から教えてくれるとありがたいです!見てニヤニヤしたいからで~す!画像も自由に使ってください!ブログに貼ったり、友達に送りつけたりして怒られてください!商用利用とかは無しね!ごめんね!
2次利用に伴う著作権収入などはないが、「漫画 on Web」の閲覧数が3~5倍に増加し、続編「新ブラックジャックによろしく」などほかの著作の売り上げが「非常に良いペースで伸び、ここ数日さらに加速している」という。売上額は、「毎日5万円以上」で、「企業として考えれば小さな数字かもしれませんが、これが維持できれば雑誌媒体で活動せずとも、なんとかそれだけで執筆活動を維持できそうかな?という所までは来ました」と佐藤さんはつづっている。「ブラよろ」2次利用フリーで「すごいことになった」 100万人超の読者獲得、「紙のコミックスに匹敵」 - ITmedia ニュース
これらの「生き様」は、ぼくにとっては、2013年という時代の、2013年という環境の、「適者の生き様」に見えるのだ。もう少し丁寧にいうと、「適そうとしている人の姿」だろうか。その姿は美しい。その姿をもってようやく「強さ」を感じることもできる。
環境は、耐えず変化を続ける。本質的にそういうものだと思うし、変化に抗うことはできない。変化の先にあるもの、変化がもたらすものを受け入れ、それとともに生き延びていこうとする姿勢は、美しい。ぼくも、美しく生き、そして死にたい。