マンションの管理人さんと乾杯した

先日、住んでいるマンションから歩いていける距離の、最近お気に入りの小さな居酒屋さんに行ってみたら、先客としてマンションの管理人さんがいたので、隣の席に座って乾杯をキメるに至った。しかも、管理人さんにおごってもらった1杯で乾杯したのだ。最高の体験。

入居直前、管理会社の担当の人は「あそこの管理人さん、怒ると怖いんだよね…」みたいなことを言っていた気がするけれど、まだ怒っている姿を見たことはなくて、ひたすら優しい印象しかない。

住んでいて、なにか困ったことがあるときは管理人さんに相談することになるけれど、そんなことは稀で、日常における接点と言えば、出勤前にマンションのゴミ捨て場にゴミを持っていったときに会うってのがほとんどだ。いつも、管理人さんと、掃除のおじちゃんと、ふたりでゴミをまとめている。「おはようございまーす」と挨拶してゴミを置くと、ふたりが「いってらっしゃーい」と返してくれる。

ぼくら夫婦のことはよい印象とともに覚えてくれているようで、乾杯のあとのお話も弾んだ。このマンションで起きた珍事件のエピソードなんかは、お酒の肴にはぴったりだった。中でも、マンションの住人が育てきれなくなった子供を引き取って今も育てているお話なんかは、ともすれば、というか、ふつうに重い話題なはずなのに、管理人さんが重い雰囲気は出さずに話してくれるもんだから、ずいぶんと軽めに聞いてしまった。でもやっぱりすごいと思う。なかなかできないこと。

「奥さんを幸せにしたかったら、勉強し続けなきゃだめだよ」ってことを何度か言ってもらえて、本当にそうだよな〜と思いながら聞いていた。いま読んでいる本のお話とか聞いてもらって、うんうん、そうですね、がんばります、という感じ。ぼくの生活の中では、大人と言ってもせいぜい30代後半くらいの年代の人くらいとしか接点がなくて、こうして60〜70歳くらいの人生の先輩からありがたいお話を頂戴するのは、自分にとっては貴重な機会なんだとあらためて実感した。いろいろとお話を聞かせてくれるそれくらいの年代の方として思い浮かぶのは、元東京都立航空工業高等専門学校校長の島田先生くらいか。

よくこのブログにも書いたりする通り、ぼくには「地元と呼べる町」がない。少年期は引っ越しを繰り返していたので、「北海道」より細分化したレベルでの地元がない。だからこそ今回の「ふらっと行った居酒屋で知り合いに会う」っていう体験は、なんだかとてもうれしくて、ますますこの町が好きになった。