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情報の推薦と音楽の視聴と顧客の体験

5年くらい前に、いっしょうけんめいに情報推薦のことを考えていた身として書きますが、そういった状況を離れてしばらく経つので、最近のことはよくわかりません、そういう身の人が個人の日記レベルのことを堂々と書きます。「何を今さら」と思うような記述があれば、はてなスターにてご指摘いただければと思います。

SoundCloud がもたらす体験から考える

近年、SoundCloud がある。これはドイツのベルリンでつくられているサービスで、先日、ここの中の人のひとりである sferik さんが日本にきていた。この文字列 sferik に見覚えのある人は、https://github.com/sferik/twitter にお世話になったことがあったりするのではなかろうか。いきなり余談だった。

SoundCloud に触れていて「いいな」と思うところはいろいろあるけれど、今回のエントリでは「適当にどんどん再生してくれる」点を取り上げよう。

(2014年になって急に SoundCloud のお話をはじめたから、さっそく「何を今さら」感が出ているし、そろそろはてなスターがつけられたと思う)

適当なクエリで検索してみて、ある程度の量の検索結果があったとして、検索結果のいちばん上の Track だったり Playlist だったりの「再生ボタン」を押すと、それが再生されるのは当然だと思うのだけれど、そいつの再生が終わったら、今度は検索結果の上から2番目を勝手に再生してくれる。なんか適当に文脈を読み取って「次はこれだろ」みたいな感じで、どんどん再生してくれる。ここが、楽しいと思う。

「音楽と情報推薦」が絡むサービスやらアプリやら、そういう類のものはたくさんあった。たとえば「あなたの好きなアーティストを教えてください」とか言って、入力を終えたら、「こんなアーティストもおすすめです」と出してくれる。はい、ありがとうございます。これはこれでうれしいと思う。ここから「へぇ、こんなアーティストもいたのか」と知ることができれば、ちょっと調べて曲を見つけ出してきて聴いてみたり、音源を買ってみたり、ライブに参加してみたりして、それで気に入るかもしれない。

でも考えてみると、情報の推薦を受けてから「実際に気に入る」までの間に、障壁というか、コストの発生するものがあると、その分だけ「うれしい体験」が摩耗して減っていくんじゃないか。あと、「期待値との落差」ってのもけっこう厄介で、「これめっちょオススメなんで絶対に買ってください!!!」とか言われて3000円を払ってゲットしたアルバムの中身があんまり好きじゃないものだったらつらいと思う。推薦するときに期待を上げ過ぎると損があると思う。

ここで、情報推薦の「評価」について、ちょっと考えてみたい。お話を具体的にするために、情報は「音楽」に関するものに限定しよう。

  • ヒット率 : おすすめされた楽曲のうち、「いいな」と思えた楽曲の率
  • ヒット数 : 単位時間あたりに発見された「いいな」と思う楽曲の数
  • ヒット効率 : 「いいな」と思う楽曲がひとつ見つかるまでにかかるコストの小ささ

うん、うまく整理できていない!けれど、ま、続けてみよう。

ことさら「音楽」という「聴くもの」に関していえば、消費スタイルが受動的で許されるため、とにかくヒットがたくさん出ればいいとぼくは思う。「10曲のうち8曲は、確実に気に入ってもらえますよ」という、1週間に1回しか利用できないサービスよりも、毎日毎日100曲くらい再生してくれて、毎日そのうちの10曲くらいは「おっ、いいじゃん」って思えちゃうサービスの方が、少なくともぼくにとっては、日々の中で使いたい気持ちが強い。

研究室時代に情報推薦のことを扱っていたときは、多くの場合「精度」という言葉とともにヒット率についての議論がなされていたが、サービスが提供する価値という面を考えると、アカデミックな領域では扱いにくい、定量化しにくい、言うなれば「満足度」みたいな、そういった対象について考えさせられることも多い。

情報推薦の5W1H

これは、数年前につくられたもので、当時のぼくの同僚がアップしてくれている資料。

「みんなでワイワイと情報推薦について議論するのいいけど、そういうときは WHAT だけじゃなくて、他のことについても話そうや」みたいな主張をしていた覚えがある。

SoundCloud、別に「あなたにおすすめの音楽があります」とか言っていないと思うけれど、どんどん新しい音楽に出会えて楽しいし、それも、文字の入力とかクリックとかタップとかあんまりしなくていいし、あなたの視聴履歴データが貯まるまで待ってとか言ってこないし、むつかしくなくて楽しいから本当にいい。

「音楽、どんどん聴こう、どんどん楽しんでいこう」という雰囲気が伝わってきて、ぼくはそんなふうに受け取っていて、ヤーヤー、楽しい。

よくわかんない曲が流れてきても、フーンと思って数分も過ごしていれば次の曲に移る。別に損しない。

これは受動的に楽しめる音楽のおもしろいところで、これが書籍だったりしたら、外れ本を読まされたらつらいだろうし、映画だったら1本がけっこう長いからつらいし、ニュース記事だったとしても自分で読まなきゃいけないからつらい。能動的な消費が求められるコンテンツについては、ヒット率はきっと重要だ。

まとめ (無理矢理)
  • 音楽の推薦においてはヒット率よりヒット数を重視してもいいかも
  • SoundCloud 勝手にいろいろやってくれておじさんも助かる
  • SoundCloud たのしい

もっぱら聴くだけの使い方ですがヒョロ〜が増えるとストリ〜ムがもっと楽しくなりそうなので、おまえらのことをヒョロ〜させろください。

https://soundcloud.com/june29

(おわり)