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現場感覚からのフィードバック

先日、チームで「事業をこれからどうするか」というお話をして、その中から「こっちの方向はよさそう」という筋が見えて、そこでいったんミーティングが時間いっぱいだったので、チーム内でもっともソフトウェアに精通している立場の人として、ぼくは「じゃあ、ざっくりとでもソフトウェア側の要件を整理しておきますね」と進言した。

次のミーティングのときに、ぼくが整理した内容を共有してみたところ、「想像していたよりも要件が複雑だった」との反応があって、結局、話し合った末にその方向では実装を進めないことになった。

これは、現場感覚からのフィードバックがチームに知恵をもたらしたのだと思った。たまたま今回は「ソフトウェアとしての要件」を形にしたことで目に見えるようになったわけだけれども、これが「ビジネス要件」だとしても、他の視点からの要件だとしても、写像してみたときに「シンプルな姿からかけ離れている」と知覚できれば、その時点で、舵を切って進路を変えることもできる。逆に、要件として書き出してみても極めてシンプルならば、その方向の良さを感じ取ることができるだろう。

もちろん、ぼくが示した要件が、やろうとしていることの複雑さによってではなく、ぼく自身の設計の未熟さによって複雑な形を描いているのだとしたら、それは誤った情報をチームに与えてしまうことになるので、チーム内で、各方面の「得意な人」がそれぞれに妥当な判断をできる、という信頼が前提にはなるだろう。

意思決定の場に、いろんな専門家がいるのはよいことだ。それぞれの視点から「わたしの感覚では、これは複雑すぎると思う」と感覚を伝え合うことができる。もし言葉だけでは感覚を伝え切れないようなら、それを形に落としたものをお互いに見せ合うのがいいだろう。そうして、どの視点から見ても「よさそう」と思えるものが見つかったなら、ようやく、それを試してみようと素直に思えるようになるのだ。