覚悟力

今後も2、3カ月に1つ程度のペースで新規事業を展開し、途中経過をシビアに見て継続の可否を判断しつつ、「なるべく早く、3~5年のスパンで、mixiやFind Job!に匹敵するようなサービスを作りたい」と石井さんは話している。

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サービスが成功するためには何が必要だろうか、って考えるときがあって。学生の頃は「アイディアが優れていれば勝負できる」と、わりと盲目的に考えていたと思う。というか、そうであってほしいという願いも込められていたのだろう。「Web 2.0」という潮流は、当時のぼくのような、色々をこじらせている20代前半の若者に「既得権益に立ち向かえるフィールドがある」と期待を抱かせるには充分であった。

学生時代を終えてから数年を経て、単にアイディアやコンセプトが優れているだけでは勝負にならない、と、次第に考えをあらためていった。どこかから得た着想をそのまま設計と実装に落とすには高度な技術が必要で、実装が悪ければ、コンセプトがユーザに伝わることもなく散っていく。よしんば、よい実装にたどりついたとしても、その先には運用が待っている。初期にユーザを獲得できても、運用が悪ければユーザは離れていく。運用にも技術が必要だ。

はっきり言って「成功サービスを生み出す」のは並大抵のことではない。考えなければいけないこと、身に付けなければならない技術、などなど、山ほどある。人の限界を優にこえるほどの困難を乗り越えなければ、達成できないことであると思う。

そういった幾多の困難を乗り越えるには「覚悟」が必要だ。ぼくは少年漫画に育てられた人間だけれども、今回は少年漫画の世界のことを話しているわけではなくて、現実世界のお話をしている。

ぼくは、あるとき、ある人との「覚悟」の勝負で、負けた。ぼくが「やります」とさえ言えれば、ぼくが任されることのできる仕事があったけれど、ある人の目の前で「今の自分には引き受けられません…」としか言えなかった。怖くて怖くて「やります」の一言が言えなかった。ある人は「じゃあ、自分がやりますので」と言って、ぼくの代わりに丸ごと引き受けてくれた。ぼくは「覚悟力」の差で、完膚なきまでに負けたのだった。

その体験があって以来、ぼくは人間の「覚悟力」というのは実在すると信じている。

ほいで、ようやく、冒頭のエントリのお話に入ろう。

「3~5年のスパンで、mixiやFind Job!に匹敵するようなサービスを作りたい」って、強い覚悟とともに本気で想える人は、自分で会社を興すなりなんなりするのではないか。もしそうだとしたら、そういう気概を持って活動している人に、mixiが持っているリソースを提供する形で協力するのがよいのでは、と、ぼんやりとそんなことを考えた。

ちなみにこのエントリは、あんまり覚悟を伴っていない。感じたことをメモした程度だ。