書籍「逆襲の<ヴィジュアル系>」を読んだ

ゴールデンボンバー鬼龍院翔さんのインタビューが載っているというので、それ目当てで買いました。期待通り、おもしろかったです。

つくづく、ゴールデンボンバーという存在は、時代に愛され、そして時代を愛しているのだろうと思います。著者の市川さんは「ヴィジュアル系が、ヤンキー文化からオタク文化へと遷移していった」と捉えていて、なるほど感があります。ヤンキー文化時代のヴィジュアル系の世代を生きていたら、先輩たちに呼び出されてボコボコにされていただろう、と鬼龍院さんは言う。わはは。

鬼龍院さんは1984年生まれで、ぼくは同世代なので、発言の端々から感じられる世代観のようなもの、いちいち「わかる〜」となってしまうのだ。ゴールデンボンバーという現象が生じてくれて、本当によかった。壮大な社会実験を見せてもらっているような気持ちにもなる。

ゴールデンボンバーの登場箇所だけでも読み応えたっぷり。いい本でした。

書籍「みんなではじめるデザイン批評」を読んだ

しまださんのブログで紹介されているのを見て、ちょうど最近の自分の興味の範囲でもあったので電子版を買って読んでみました。

みんなではじめるデザイン批評

みんなではじめるデザイン批評

  • 作者: アーロン・イリザリー(Aaron Irizarry);アダム・コナー(Adam Connor)
  • 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
  • 発売日: 2016/07/26
  • メディア: Kindle
  • この商品を含むブログを見る

業務プロセスにコードレビューが組み込まれていて、日常的にお互いの成果物をレビューしながら過ごしている身としては、読んだことで「新しい知見を得た」というよりは、ふだん自分たちがやっていることを立ち止まって整理する機会となった、という感じ。そんな中でも「なるほど〜」と思った箇所は読みながらハイライトしておいたので、それを見返しながらメモ書きしておく。

  • 創造的思考と分析的思考を同時に行うのはむつかしい、脳はそういうふうにできていない、そのときそのときの自分に必要なのはどっちなのかを見極めていい感じにスイッチしてやることが大事
  • 文化変容 (長い時間をともに過ごすとお互いの話し方が似てくる、同じことばのフレーズやものの名前を使うようになる)
  • 「批評は単なるデザインスキルではなく、ライフスキルだ」という筆者たちの主張
  • フィードバックには、反応、指示、そして批評の3つのタイプがある
  • 「よい批評は問題解決をしない」
  • 役に立たないフィードバックの特徴
    • 個人的な目標の影響を受けている
    • タイミングが悪い
    • 説明が足りない
    • 好みに基づいている
  • 批評の目的は全員を納得させることではない

映画「オデッセイ」を観た

奥さんといっしょに「なんか観るか」というテンションになり「そういや理系ホイホイと評判だったよね〜」と軽いノリで手に取りました。火星の人。ストーリーラインが素直にわかりやすくておもしろかったです。

イモ好きの自分としては、やっぱりイモを育てるシーンがよかったです。

あとは、シン・ゴジラを観た(しかも2回)テンションをひきずっているからかもしれませんが、NASA のお偉いさんたちの意思決定のシーンをじっくり見てしまった。それぞれの立場で「大事にしなきゃいけないこと」が明確にあって、それらを正当にぶつけあう姿はとてもいいですねぇ。クルーたちのことを最後まで思い続けていたおじさん、あなたかっこよかったですよ。

極限状況下においても主人公がひたすらポジティブなので、観る側としてはちゃんと応援したくなれて、観やすい映画だと思います。むつかしいことを考えずに楽しめてよかった。

書籍「さよなら、インタフェース」を読んだ

楽しく読みました。

さよなら、インタフェース ?脱「画面」の思考法

さよなら、インタフェース ?脱「画面」の思考法

試しにサンプル版をダウンロードして読んでもらったらわかると思うんだけど、いい意味で雑で、雑談っぽい感じの文章で持論が展開されていっておもしろい。ぼくにとってはポジティブに作用した。訳者さんは「訳者泣かせ」と言っていた。合わない人には合わない、クセの強さはあるだろうけれど、言っている内容はおもしろいので興味があったらサンプルを、ぜひ。

著者の Golden Krishna は、なにかとアプリをつくりたがり、なにかと画面をデザインしたがる現代社会に警鐘を鳴らしている。なんでもかんでも画面をつくりすぎ、必要のない画面をつくりすぎである、と。

「安易に画面をつくろうとするな、真面目にやれ、人々の問題を解決しろ」

豊富な事例を持ち出してきては、繰り返しそんなことを告げている。

「寝る前に明るい画面を見ちゃうと脳が活性化して寝付けなくなる」的なことが書いてあるページを Kindle で読んでいる途中で寝落ちしてしまったり、自宅でほぼ全裸で踏み台昇降運動しながら読んでいるときに「キミの着てるその服、なかなかいいね」と書いてあるページに差し掛かってしまったりと、ぼくとこの本はなかなか噛み合わなくて笑ってしまったけれど、内容にはおおいに共感した。

インターフェイス (ぼくがカタカナ表記するときは、いつもこう書く。書籍のタイトルと表記が異なっているのは知っているけれど、それでもぼくはこう書きたいのだ) なんて、なくてもいいんだったらないに越したことはない。チャットボットと暮らす人類の未来に自分は何を期待するのか、あるいは何を期待しないのかというエントリの一部にも、そういったことを書いた。ボットに命令を与えるインターフェイスとしてチャットを使いたいんじゃない、ぼくたち人間がいつものようにチャットをしていたらボットがいろいろと気を利かせてくれる、そんな未来を期待しているのだ、と書いた。これは Golden Krishna の考えにかなり近いことを言っていると思う。

ノー・インターフェイスを体現するに当たっては、各種のセンサーデバイスが大活躍してくれることだろう。そういった意味で、近年の IoT 的な流れは歓迎したいものだ。自宅のリビングに種々のセンサーを仕掛けて、そこから読み取れる情報をもとに「いい感じに」よろしくやってくれるシステムは、今後どんどん登場してくれることだろう。

スマートフォンアプリは UI が肝心」なんてことはよく聴こえてくるけれど、この本を読み終わった今、インストールしておくだけで勝手にバリューを出してくれるような、そんなアプリをつくってみたい気持ちになっている。現代のアプリケーション開発者に、よい視点を与えてくれる書籍だと思う。読めてよかった。

映画「シン・ゴジラ」を観てきた

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映画『シン・ゴジラ』公式サイト

観に行こうと思った動機はけっこう軽くて、去年の9月に自宅近くで撮影が行われていたからという感じ。

よっしゃ、蒲田の壊されっぷりを確認しにいこ!くらいの軽い気持ちで観に行ってみたら、だいぶおもしろい映画だったので「軽い気持ちで観にきてすみませんでした…」という感情になった。よい映画でした!

映画の中身についてはあまり情報が開示されていないようなので、ぼくもネタバレしないように感想を書きたい。

ぼくの率直な感想は「東京で働いている人としてこの映画を観ることができてよかった」です。北海道に住んでいた頃だったら、東京の街が破壊されていく様子を見てもそこまで感情移入できなかっただろうな、と思う。今の自分にとっては、東京の街があっという間に壊れていく映像、ちゃんと悲しかったし、怖かった。自分、東京の電車に愛着があるんだな、って思ったよ。

スタッフロールを見て「庵野さん、いろいろやりすぎ」と思って笑った。細部にまで愛を込めてつくったんだと思う。おもしろい映画だったので、なんとなく気になっているくらいの人でも観に行ってみるとよさそう。