読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

2ヶ月に1回くらいずつ会う人が話しやすいタイプだとうれしい

f:id:june29:20160819235944p:plain

2008年に上京してきて、もうすぐ8年半が過ぎようかというところ。

上京直後は本当にお金がなくて、とにかく「安く済ませられるところ」として選んだ当時の自宅近くの床屋さんに行って「かっこよくしてください」とおっちゃんに頼んだら、よっしゃ任せておき〜というテンションでハサミが進んでいき、最終的におっちゃんと同じ髪型になった。ドッグフーディングという意味では筋が通っているので納得はしたけれど、ぼくにはあんまり似合っていないと感じて、自己評価としてはかっこわるい髪型になった。そのお店には二度と行っていない。

その次か、もしくは次の次に行ったお店の美容師さん──ここではAさんと呼ぼう──とは相性がよくて、いい感じの髪型にしてくれるしお話も弾む感じだったので、それからたぶん2年くらいかな、Aさんに髪を切ってもらっていた。「実は、子どもができまして…」といってAさんがオメデタ退職されることになったタイミングで、ぼくは次の美容師さんを探さなければならなくなったのだ。

ぼくは、お目当ての美容師さんがいなくなる場合は、もうそこのお店には行かないことにしている。ヘアカットは、お店で選んでいるんじゃなくて美容師さんで選んでいる。同じお店の別の美容師さんに頼むのはなんだか気が引けて、たとえば育児期間を終えてもとの担当美容師さんが戻ってきたらまた担当を変えるのかい、それって気まずいんじゃないの、とか考えると面倒で、やっぱりお店を変えちゃうんだよね。

学生時代は接客業のアルバイトをしていることが多かったので、その時期は髪型の制約が強めだった。一方、学生期間の最後の1年と、それ以降のソフトウェアエンジニアとしての人生においては、髪型についてとやかく言われる場所に身を置いていないので、基本的にはどんな髪型にしてもよい立場だ。上京してきてからの散髪については、いつもだいたい美容師さんに以下のように要件を伝えている。

  • どんな髪型になったとしても、絶対に文句は言いません
  • もし、美容師さんが最近試したいと思っているカットなどあれば、ぜひ試してください
  • 素直に整った髪型よりも、部分的に遊びを加えた髪型の方が楽しくて好きです

それで「前髪パッツンストレート、それ以外はうねうねウェーブ」みたいな周りからの評判がすこぶる悪い髪型が錬成されたりもしたけれど、楽しかったからぼくは満足していた。

10代後半のころは、いっしょうけんめいにヘアカタログ的な雑誌を見て「こういう髪型にしたい」というイメージを固めてから美容室に足を運び、写真を見せるなどして「前髪はこうで、サイドはこうで、襟足は〜〜〜」と事細かに要件を指示しがちだった。マイクロマネジメント。そして、ほとんどの場合は、ぼくがもともと想定していたよりもブサイクな仕上がりになるのであった。まだ、自分の「かっこよくありたい」という願望に諦めがついていなかったころは、期待と現実のギャップにしばしば落胆したものだ。20歳を迎えるころには身のほどを知ったというか、そもそもあんまり自分の容姿に期待しなくもなり、美容室でも「適当に短くしてください」とか言うようになり、皮肉なことにそれくらい緩めに伝えた方が美容師さんがちゃんとぼくに合う髪型にしてくれたりして、無能なマイクロマネジメントの愚かさを呪う羽目になるのであった…!

さて、Aさんがいなくなってしまったぼくは、次の場所として、当時の自宅近くの適当な美容室を選んだ。そこで相性のいいBさんを見つけた。Bさんには、3〜4年くらいお世話になっていたと思う。この時期に「美容室に行ったことがない、行ってみたい」という10代の若者の美容室デビューをお手伝いする機会があって、Bさんのもとに連れていった。その後しばらく、その若者は自宅から1時間くらい離れた場所にあるBさんのいる美容室に通っていたようだった。ぼくは、Bさん経由でその若者の恋バナを聞けたりしたからおもしろかった。

Bさんから「実は、別の店舗に異動になりまして…」と言われたときに、別れの季節がやってきてしまった。そうしてぼくは、いま通っている美容室に向かうことになった。いまの担当美容師さんが、Cさんだ。

先週、自宅近くのコンビニにふらっとお買い物に向かったら、Cさんと思しき女性がコンビニから出てきた。ぼくは「こんにちは〜」と声をかける。ただ、顔を下に向けて俯いた姿勢で歩いていたので、声をかけながら「あっ、もしかしたらCさんじゃないかも… 人違いだったらどうしよ…」と不安になりつつあった。結局は、ちゃんとCさんだったからよかった。

Cさんは「実は、妊娠しまして…」とちょっと照れた様子で教えてくれた。それで、下を向いて、少し見えにくくなった足元を気にしながら歩いていたとのこと。担当美容師さんとはたっぷりおしゃべりするタイプのぼくは、おめでたいことだなぁとうれしくなりつつ、また次の美容師さんを探す旅がはじまっちゃうなぁと、寂しくも感じてしまった。Cさんの最終出勤日は10月初頭だということなので、9月の末頃に、髪を切ってもらいに行こうと思っている。